ご挨拶

岸学 (テクニカルコミュニケーター協会会長)

今回のシンポジウムテーマは、『「よかった!」を引き出せ…!TCの新しい活用法』です。趣旨がストレートに伝わるわかりやすいテーマだと思います。取り扱い情報によって、製品(モノ)の良さや価値を伝え、ユーザーや顧客の方々に満足していただく、というTCの使命を明確に表明しているからです。ただし、実際にテーマを形にしていくとなると、「わかりやすさ」が「とらえどころのなさ」に変質してしまうことがよくあります。説明文の作文指導研究では、何十年もの間、書き手にとっては「読み手を意識すること」が重要であると言われ続けてきました。その通りです。こんなことは誰でもわかります。あまりにも自明なので、研究者はまともに取り上げませんでした。

しかし、近年、説明文指導の必要性が増えるに伴い、あらためて「読み手意識」が注目されてきました。具体的な研究として、「誰が読み手意識を持てるのか」「読み手意識がない人には何を教えるべきか」「読み手意識は学習できるのか」「読み手意識はいつごろから発達するか」などが必要になってきたのです。こうなると、そもそも「読み手意識とは何か」を原点に戻ってきちんと示さなければ、研究が何も進まないことが共通認識となってきました。しかしこれが難しい!「わかりやすい」と思っていた用語が、実は「とらえどころがなかった」だけなのでした。「よかった!」はとてもわかりやすいです。そこで、このシンポジウムを通じて、「よかった!」とは何か、何が起こると「よかった!」と思うか、など、原点に立ち戻ったような問いかけを発し、その意味を吟味する作業を進めていただきたいと思います。

皆様の成果を期待致しております。

加藤 憲治(TCシンポジウム2009実行委員会委員長)

株式会社富士通ラーニングメディア 代表取締役常務

テクニカルコミュニケーションシンポジウムは、今年で21回目を数えることになりました。また、テクニカルコミュニケーター協会が1月に一般財団法人となって初めての開催でもあります。一般財団法人化元年にふさわしい、有意義な情報交流、成長の機会となるよう、充実したシンポジウム企画をご用意いたしますのでご期待ください。

さて、我々を取り巻く経済環境は「100年に一度」と言われる激変の中にあります。この中で企業が対峙している課題は、多岐にわたります。直面する課題としては、地球環境への配慮、ユニバーサルデザインへの配慮、多様性への配慮、顧客満足度の向上、CSR対応、安心・安全の確保などがあげられます。これらの課題の解決をテクニカルコミュニケーションがサポートします。我々テクニカルコミュニケーターが、製品・サービスの本質、提供者の想いを理解し、利用者に最適な取扱情報を提供することにより課題の解決を実現していきます。

テクニカルコミュニケーションにより、製品・サービスはその価値を発揮して利用者の心をつかみ、利用者は購入の目的に適った快適な生活を手に入れることが可能となります。今年のシンポジウムのテーマは、『「よかった!」を引き出せ…! TCの新しい活用法』としました。テクニカルコミュニケーションを通して、製品・サービスを利用することで、利用者の「買ってよかった」「使ってよかった」、作り手の「作ってよかった」を引き出す技術について考えます。

テーマに則した基調講演をはじめ、パネルディスカッション、事例・研究発表、特別セッション、TC関連商品紹介および日本マニュアルコンテストの表彰・展示など、多数のプログラムを用意しております。

宮崎 邦明(TCシンポジウム2009大阪会議代表)

エニシード有限会社 代表 TC協会 評議員

関西でのシンポジウム開催は、今年11年目を迎えます。今、初めて開催したころを思いおこしますと、ご支援、ご助成を続けてくださいました方々や、ご参加者の皆さんに感謝したい気持ちでいっぱいになります。また、年を追って、新しく若いみなさんが、関西での活動を盛り上げてくださり、とても感謝しています。プログラムの内容では、少しずつでも関西の特徴を生かした企画をと努めておりますが、まだまだであります。今後継続して努力してゆきたいところです。

何とかのひとつ覚えのように「必要な技術はすたれない」に思いを込めて、シンポジウムにたずさわってまいりました。コミュニケーションは、人間社会に必要不可欠な基本技術です。シンポジウムをよき機会として、制作技術の向上や教育、業務の改革に生かしていただきましたら、とてもうれしく思います。

本年は、昨年に引き続き、京都開催といたしました。楽しみな交流会もあります。ぜひとも、ご参加くださいますようお願いいたします。アンケートなどで、ご批判やご助言、ご提案をたまわりたく、重ねてお願い申し上げます。

TCシンポジウム2009 in Tokyo【東京開催】

全体プログラムTCシンポジウム2009 in Tokyo【東京開催】 時間割(PDF)基調講演今年の基調講演者は、原 研哉(はら けんや)氏です

パネルディスカッション(1セッション150分×10)テクニカルコミュニケーションを広く捉え、旬な話題、制作などに関する技術動向、業界動向について討論するセッションです。

特別セッション(1セッション150分×8)ライティング、編集デザイン、UI関連、制作ツール・管理など、実務経験者講師による実践的なセッションです。

招待発表(1セッション60分×2)アメリカの製造物責任分野の専門弁護士を特別ゲストとして招へいし、アメリカ におけるマニュアルの安全表記のポイントを解説します。

協会発表/事例・研究発表(1セッション60分×15)TC分野または関連分野の業務に携わる方々やその研究をされている方々多数の発表応募をお待ちいたします。商品やソリューションの紹介を中心とした発表につきましては「TC関連商品紹介」の発表応募でお願いいたします。

商品紹介(1セッション60分×11)TC分野または関連分野のアプリケーションソフト、ソリューション、ツール、システムを販売されているベンダーの方から、利用事例や商品の紹介をしていただきます。

TCシンポジウム2009 in Kyoto【京都開催】

全体プログラムTCシンポジウム2009 in Kyoto【京都開催】 時間割(PDF)パネルディスカッション(1セッション150分×6)テクニカルコミュニケーションを広く捉え、旬な話題、制作などに関する技術動向、業界動向について討論するセッションです。

特別セッション(1セッション150分×3)ライティング、編集デザイン、UI関連、制作ツール・管理など、実務経験者講師による実践的なセッションです。

招待発表(1セッション60分×2)アメリカの製造物責任分野の専門弁護士を特別ゲストとして招へいし、アメリカ におけるマニュアルの安全表記のポイントを解説します。

事例・研究発表(1セッション60分×3)TC分野または関連分野の業務に携わる方々やその研究をされている方々多数の発表応募をお待ちいたします。商品やソリューションの紹介を中心とした発表につきましては「TC関連商品紹介」の発表応募でお願いいたします。

商品紹介(1セッション60分×9)TC分野または関連分野のアプリケーションソフト、ソリューション、ツール、システムを販売されているベンダーの方から、利用事例や商品の紹介をしていただきます。