【記事】多様化するトリセツ。コミュニケーション技法の協奏

 製品を提供するメーカーが法令要求に基づいて作成する取扱説明書は、その存在と役割が広く認知されるようになると「取説」と通称されるようになりました。その後、媒体、目的、さらには作り手までが多様化するなかで、今やトリセツと通称される情報領域のひとつになっています。
 『トリセツを楽しむコミュニティー』では、製品のトリセツや産業機器のトリセツ(本家本元の取扱説明書)の他に、サービスマニュアル、添付分書、薬のトリセツ、組立説明書、工事のトリセツ(取付説明書、工事説明書、施工説明書)、素材のトリセツ、食品のトリセツ、手順説明のトリセツ、業務マニュアル、ガイド本、実務書、事例本など、多彩なトリセツに関する投稿が続いています。小道具としてトリセツを用いるNHK番組『万物トリセツショー(2021年)』『あしたが変わるトリセツショー(2022年〜)』も話題を広げる契機になりました。
 メーカーが提供する取扱説明書の作成に用いられてきた技法がテクニカルコミュニケーションです。しかし、多様化してトリセツと総称される情報領域において必要とされる技法のすべてをテクニカルコミュニケーションだけで担う事はできていません。同様に法令要求に応える技法として体系化され伝承されているコミュニケーション技法群の協奏が必要です。医療と公衆衛生の領域で研鑽されているヘルスコミュニケーション、アメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)がガイドとして公開しているリスク&ベネフィットコミュニケーション、そしてセーフティーインストラクションを包含して体系化されつつあるセーフティーコミュニケーションズなどです(図「各コミュニケーション技法の領域」参照)。
 コミュニケーションデザインシンポジウム2022では、多様化するトリセツ、その作成と評価に適材適所で用いるいくつかのコミュニケーション技法を幅広く採り上げます。

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