開催テーマ
今年29回目を迎えるテクニカルコミュニケーション(以下TC)シンポジウムは、「日本のTC技術を世界に負けない水準に高めたい」というTC協会の思いから始まり、TC技術の発展に寄与するとともに日本の産業振興に貢献してきました。TC技術によって信頼性の高い情報発信が可能となり、ユーザーは安心して製品やサービスを取り扱うことができるようになったことで、これらの利用価値が高まりました。
昨今TCを取り巻く環境が急速に変化しており、その変化に合わせTC技術もさらなる進化を求められています。IoTやAIが引き起こす第4次産業革命や政府主導による「働き方改革」の実現に向けた取り組みは避けて通れません。これらTCが直面する変革や課題を受け、今年のTCシンポジウムでは『TCのチカラで高める、日本のプレゼンス!』をテーマに掲げました。このような変化をチャンスと捉え、TC技術の活用領域を拡げて、わたしたちが提供する価値をさらに高めるのが狙いです。
サブテーマ『いま問われる"高生産性社会"とは?』はテーマの社会的背景を示唆しています。「働き方改革」の推進で、総労働時間の短縮やホワイトカラーの生産性向上が叫ばれる中、時間や人といった限りある資源を大量に投入する高度成長期の働き方から脱却し、より少ない資源で成果を得られるような高効率を追求する社会にシフトしていくことが予想されます。少子高齢化で生産年齢人口が減少し、効率性を追求せざるを得ない世の中を"高生産性社会"と仮定し、その"高生産性社会"で役立つTC技術と、こういった技術を活かせる新しい領域を探ります。今年のTCシンポジウムに、ぜひご期待ください。
2017年5月
テクニカルコミュニケーションシンポジウム2017実行委員会
実行委員長 岡 訓仁 …… アズビル株式会社
プログラム委員長 市川 英明 …… アズビル株式会社
関西実行委員会議長 八尾 正弘 …… 株式会社堀場製作所
開催ごあいさつ
TC協会会長 綿井 雅康
一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会
会長
テクニカルコミュニケーション2017 のメインテーマは「TC のチカラで高める、日本のプレゼンス!」です。その趣旨は、TC 技術の水準をより一層高めるとともに、技術の活用領域を拡げることで、「日本」の存在価値を向上させることに貢献したい、という今までにない「外向き」なメッセージだと理解しています。さらにサブテーマとして「いま問われる" 高生産性社会" とは?」を掲げています。これからの社会では、限られた資源から成果をあげていく高効率性の追求が求められると想定しています。そして本シンポジウムを通して、こうした高効率性に寄与しうるTC 技術の可能性を探る試みが展開されることと存じます。
テーマの根底にある考え方は、社会貢献ではないでしょうか。ただしそれは「社会のなか自らの価値を実現していくこと」による貢献だと考えます。心理学者のマズローが提唱した「欲求の階層」説において、最上位に位置づけられた「自己実現の欲求」に通じる考え方だと言えます。私たちは生涯を通じて成長するなかで、自らの良さや特長を認識し、それらを社会のなかで活かすことで、自らの存在や価値を認められることを追い求めていきます。まさに、自らの価値を実現していくことが社会のより良い発展につながるといえます。
つまり「TC のチカラで高める、日本のプレゼンス!」とは、参加者であるテクニカルコミュニケーターの方々が自己実現を図ることを通して、TC 技術そのものが社会のなかで価値を実現し、結果として社会全体のより良い発展や日本社会の存在感向上に寄与することを意識し目指していくことだと解釈できるのではないでしょうか。
本年度も、シンポジウムを通じて、ご参加の皆様が、これからの社会における「使用情報」の姿について議論と情報交換を重ねていただき、TC の価値、自らの価値を確認していただくことを期待しております。
経済産業省 岸田 篤範
経済産業省
商務情報政策局
文化情報関連産業課
(メディア・コンテンツ課)
課長補佐
テクニカルコミュニケーション協会様を始めとする関係各位のご尽力により、テクニカルコミュニケーションシンポジウム2017 が盛大に開催されることを心よりお慶び申し上げます。
今回のシンポジウムのテーマである「TC のチカラで高める、日本のプレゼンス! ~いま問われる" 高生産性社会" とは?~」には、IoT 社会における人とネットワークにつながれた環境全体とのインタラクションを考慮するうえで大切なテーマになると考えられます。特に、このようなテーマのコンセプトの一つであるVR/AR 技術は、アニメ、ゲーム、音楽等のコンテンツの発信においても、非常に重要な役割を担うと期待されます。また、VR/AR 技術は、コンテンツ分野のみならず、例えば、ものづくり現場における作業プロセスの効率化やスポーツや文化財の新たな体験の提供等、あらゆる分野に波及すると期待されております。このような技術の発展に伴い、人との相互コミュニケーションを実現するうえで本テーマは重要な要素であり、本シンポジウムでの活動をきっかけとして、テクニカルコミュニケーションをさらに発展させていただければと存じます。
今回のシンポジウムも、基調講演、パネルディスカッションをはじめとした多彩なプログラムが企画されています。これらのプログラムや、今後の貴協会のさらなる取組によって、皆様の活躍の場がさらに拡大することを期待しております。
結びに、テクニカルコミュニケーションシンポジウム2017 の成功と、貴協会及び御関係の皆様の一層の発展を祈念いたしまして、私の挨拶といたします。
実行委員長 岡 訓仁
アズビル(株)
ドキュメント・プロダクション部
部長
日本の生産年齢人口の加速度的な減少は社会にどのような変化をもたらすのでしょうか? ICT に代表されるテクノロジーの変化、顧客ニーズの多様化やグローバル化といった市場の変化に対して、われわれテクニカルコミュニケーターはどのように立ち向かっていけば良いのでしょうか?
IoT、インダストリー4.0、AI、クラウド、ビッグデータ… 技術革新の牽引となる新たな用語やコンセプトは製品やサービスを変えていく原動力となります。イノベーティブな製品やサービスが生み出されれば、その使用情報も従来とは異なる革新的なものが期待されます。テクニカルコミュニケーターに求められるスキルや役割も変わります。
政府主導による働き方改革は、単に残業時間を減らすことではなく、仕事の生産性を高めることです。少子高齢化で先細り感のある日本において、名目GDP 600 兆円に向けた成長戦略に貢献できるようテクニカルコミュニケーション(TC)技術をさらに高めるとともに、その活用領域を拡げていかなければなりません。TC 技術の活用であらゆる産業の生産性が高まり、働き方改革のドライビングフォースとしての存在感を示すチャンスです。
このような状況に鑑みて、今年のTC シンポジウムのテーマに「TC のチカラで高める、日本のプレゼンス!」を掲げました。東京・京都開催ともに、「TC のチカラ」、「プレゼンス」といった新たな分類も加え、テーマに直結する興味深いセッションを企画しました。テーマの社会的背景にあるキーワードは" 高生産性社会" です。生産年齢人口の減少で人手不足が深刻化する中、時間やお金といった限りある貴重な資源が今までよりはるかに高いレベルで有効活用される世の中へシフトしています。「 いま問われる"高生産性社会" とは?」というサブテーマに沿った活発な議論が展開されます。
基調講演では「いかに速く、わかりやすく書くか~『プロ』としての心得~」を上阪徹氏(東京開催)、「技術がひらくCPS/IoT 社会におけるコミュニケーション」を新誠一氏(京都開催)にそれぞれ講演いただきます。来たる" 高生産性社会" において、TC 技術はどのような領域を目指し、われわれはどのようなチカラを身につければ社会に貢献できるのか。今年のTC シンポジウムを契機にテクニカルコミュニケーターのプレゼンスが向上することを願っております。
同時に開催される日本マニュアルコンテスト2017 は東京開催で部門賞の発表、京都開催ではそのマニュアル オブザイヤー(MOY)の公開審査を行い、今年度の最も優れているマニュアルを決定します。
多数の皆さまのご参加を心からお待ちしております。
【東京開催】プログラム詳細
TC シンポジウム2017【東京開催】に参加いただくには、入場券が必要です。
入場券は2 日間共通で、基調講演、パネルディスカッション、ミニセッション、TC 協会発表、事例・研究発表、TC 関連商品紹介、および展示会・情報プラザに参加できます。
特別セッションに参加希望の方は、入場券と特別セッション券が必要です。 本プログラムでは、次のような企画について、それぞれの内容をご紹介しています。
時間割
基調講演今年の基調講演者は、ブックライターの上阪 徹(うえさか とおる)氏です。
パネルディスカッション10 セッション(1 セッション150 分)
テクニカルコミュニケーションの基本から旬な話題までを幅広く取り上げ、制作プロセスやツールなどに関する技術動向、業界動向などについて討論する セッションです。3 名ほどのパネリストが一緒に登壇し、各セッションのテーマに関して、最新の取り組み事例や動向を紹介し、今後の動きや留意点など をディスカッションを通じて浮き彫りにします。コーディネーターは、ディスカッションの進行をコントロールする役割を担います。
ミニセッション7 セッション(1 セッション60 分)
TC の基本から旬な話題までを幅広く取り上げ、制作プロセスやツールなどに関する技術動向、翻訳関連情報などについて講義や討論する1 時間枠のセッ ションです。
特別セッション11 セッション(1 セッション150 分)
実務経験豊富な講師による実践的なセッションです。
講師が、テーマ別にスキルや知識を解説し、学習と自己啓発の機会を提供します。
参加するためには、ご希望の特別セッションごとに事前のお申し込みが必要です。
協会発表4 セッション(1 セッション60 分または150 分)
TC 協会が実施している委員会や部会の成果としてTC 専門課程制度や国際TC 検定試験について発表、ASDoQ と連携した情報タイプ別文章執筆やWebDesigning 誌と連携したネット発信情報の信頼性の担保について、今後の動きや留意点などディスカッションを通じて浮き彫りにします。
事例・研究発表8 セッション(1 セッション60 分)
TC 分野または関連分野の業務に携わる方々や、研究をされている方々による、事例・研究発表です。
TC関連商品紹介15 セッション(1 セッション60 分)
プレゼンテーション& 商品展示に参加を申し込んだ企業により、使用説明の制作に役立つソリューションやツールを紹介します。紹介されるソリューションやツールは、展示会場において触れてみることもできます。
日本マニュアルコンテスト20178 月23 日(水)12:50 ~
中央講義棟(C 棟)C402 室にて、入賞された作品の表彰を行います。また、会期中に受賞マニュアルのポイントを解説する「展示会ツアー」を行います。場所と時間は当日配布する資料でご確認ください。
【京都開催】プログラム詳細
TC シンポジウム2017【京都開催】に参加いただくには、入場券が必要です。
入場券は3 日間共通で、基調講演、パネルディスカッション、ミニセッション、TC 協会発表、事例・研究発表、TC 関連商品紹介、および展示会・情報プラザに参加できます。
特別セッションに参加希望の方は、入場券と特別セッション券が必要です。
本プログラムでは、次のような企画について、それぞれの内容をご紹介しています。
時間割
- TCシンポジウム2017【京都開催】 時間割
- ※「特別セッション07:マニュアル制作へのMicrosoft Word活用」は、都合により開催を中止します。
- ※「特別セッション06:テクニカルライティング基礎」は、開催日時が10/5(木)14時~16時30分、会場:ルーム3に変更しました。
基調講演今年の基調講演者は、新 誠一氏です。
パネルディスカッション9 セッション(1 セッション150 分)
テクニカルコミュニケーションの基本から旬な話題までを幅広く取り上げ、制作プロセスやツールなどに関する技術動向、業界動向などについて討論する セッションです。3 名ほどのパネリストが一緒に登壇し、各セッションのテーマに関して、最新の取り組み事例や動向を紹介し、今後の動きや留意点など をディスカッションを通じて浮き彫りにします。コーディネーターは、ディスカッションの進行をコントロールする役割を担います。
ミニセッション4 セッション(1 セッション60 分)
TC の基本から旬な話題までを幅広く取り上げ、制作プロセスやツールなどに関する技術動向、翻訳関連情報などについて講義や討論する1 時間枠のセッ ションです。
特別セッション10 セッション(1 セッション150 分)
実務経験豊富な講師による実践的なセッションです。
講師が、テーマ別にスキルや知識を解説し、学習と自己啓発の機会を提供します。
参加するためには、ご希望の特別セッションごとに事前のお申し込みが必要です。
- 特別セッション【京都開催】詳細
- ※「特別セッション07:マニュアル制作へのMicrosoft Word活用」は、都合により開催を中止します。
- ※「特別セッション09:スキルパスを自ら描いてみよう!」の講義の趣旨、ポイントを変更しましたのでご確認ください。
協会発表4 セッション(1 セッション60 分または150分)
TC 協会が実施している部会の成果として国際TC検定試験について発表、日本ヘルスコミュニケーション学会と共同企画した医療・健康分野でのコミュニ ケーションやWeb Designing 誌と連携したWeb ログ解析の手法について、今後の動きや留意点などディスカッションを通じて浮き彫りにします。また、マ ニュアル オブ ザ イヤー2017 を選定する公開審査会や表彰式を行います。
事例・研究発表9 セッション(1 セッション60 分)
TC 分野または関連分野の業務に携わる方々や、研究をされている方々による、事例・研究発表です。
TC関連商品紹介12 セッション(1 セッション60 分)
プレゼンテーション& 商品展示に参加を申し込んだ企業により、使用説明の制作に役立つソリューションやツールを紹介します。紹介されるソリューションやツールは、展示会場において触れてみることもできます。