開催テーマ

拡げる、つなげる、コミュニケーションの共奏

(~One-on-one communication~)

膨大な量の情報が溢れている昨今、お客様が製品/サービスと接するときに必要とする情報、またその情報の入手のしかたが従来とは大きく変化している。
そんな中、私たちテクニカルコミュニケーターは、お客様が知りたいと思っている情報をタイムリーに、そしてシームレスに提供していく必要がある。

お客様視点に立ち返ったとき、「取説の枠」はもう必要ないのかもしれない。
「取説の枠」を越えて、マーケティング用の商品情報、アフターセールスのサポート情報など隣り合うコミュニケーションと密接につながる、つなげていくことで、新しい情報提供のカタチを作ることもできる。

新たな情報提供のカタチとして何が実現できるのか、どのような課題があるのか、そして私たちテクニカルコミュニケーターが何をするべきなのか、そのために求められるスキルは何か、を今年度のシンポジウムで考えてみたい。
さらに相互コミュニケーションを実現するコンテンツ技術(Web、映像技術、自動翻訳など)を取り上げて、導入に向けた課題検討を行い、日本のコンテンツ産業振興に寄与するシンポジウムとしたい。

  • 2016年4月
  • テクニカルコミュニケーションシンポジウム2016実行委員会
  • 実行委員長  櫻井 修 ・・・ ソニーマーケティング株式会社
  • プログラム委員長  佐藤 美和 ・・・ ソニーマーケティング株式会社

開催ごあいさつ

TC協会会長 綿井 雅康

一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会
会長

本年度のテクニカルコミュニケーションシンポジウム(以降、TC シンポジウム)の全体テーマは「拡げる、つなげる、コミュニケーションの共奏 - One-on-one communication -」です。その趣旨は、テクニカルコミュニケーターが、自らの役割を拡げて、「使用説明」の枠を超えて関連する情報をつなげるとともに、ユーザー・部門間・企業間とのつながりをさらに拡げて、相互コミュニケーションを共に奏でていくことを目指すのだと理解しています。昨年度のテーマ「共感のテクニカルコミュニケーション」を踏まえ、「共に、相互に」というコンセプトを、さらに「拡げた」テー マになっていると存じます。
小生が関係する学校教育の分野では、新たな学びの姿として「21 世紀型スキル(ATC21S)」の育成が注目されています。ある専門家は、これからの社会を「知識『創出』社会」と見定めて、21 世紀型スキルを「他者との対話の中で、テクノロジも駆使して、問題に対する解や新しい物事のやり方、考え方、まとめ方、さらに深い問いなど、私たち人類にとっての『知識』を生み出すスキル( 白水,2014)」と定義しています。従来の学習観が知識や専門性の積み上げと活用であったとすれば、新たな学習観では、人々との関わりの中で新しいこと(価値、やり方、まとめ方)を生み出して いく力の育成が中核になるのです。
これからの社会を見据えるという視点に立てば、テクニカルコミュニケーションも教育・学習も、同じ方向を志向しているように感じています。人々とのつながりを拡げ深めていくこと、従来のあり方や形式にとらわれずに「新しい姿・価値」を生み出していくことが求められていると考えます。
本シンポジウムを通じて、ご参加の皆さまが、さらにつながりの輪を拡げ、新しい「使用説明」の姿について議論と情報交換を重ね、まさに共奏していただくことを期待しております。

経済産業省 鈴木 英之

経済産業省
商務情報政策局
文化情報関連産業課
課長補佐

テクニカルコミュニケーター協会様を始めとする関係各位のご尽力により、TC シンポジウム2016 が盛大に開催されることを心よりお慶び申し上げます。
今回のシンポジウムのテーマ「拡げる、つなげる、コミュニケーションの共奏」の根底には、相手のニーズに合わせた情報をタイムリーに提供することで、コミュニケーションを共に奏で、活性化するという理念があると思います。このような適切な情報提供の取組は、アニメ、ドラマ、音楽等のコンテンツを始めとする日本の魅力的な製品/ サービスを発信するというクールジャパン戦略においても、非常に重要な役割を担うと期待されます。例えば、日本に興味のある海外の方々に最適な情報やコンテンツを届けることは、日本の魅力の効果的発信に大きく貢献すると期待しています。
さらに、発信された日本の魅力は、海外における日本ブームを促進し、やがてインバウンド需要創出にも繋がります。このようなニーズに合わせた情報提供の技術は顧客との相互コミュニケーションを実現するうえで重要な要素であり、本シンポジウムでの活動をきっかけとして、テクニカルコミュニケーションをさらに発展させていただければと存じます。
今回のシンポジウムも、基調講演、パネルディスカッション、TC 関連商品紹介発表&展示会、日本マニュアルコンテスト2016 表彰式など、多彩なプログラムが企画されています。これらのプログラムや、今後の貴協会のさらなる取組によって、皆様の活躍の場がさらに拡大することを期待しております。
結びに、テクニカルコミュニケーションシンポジウム2016 の成功と、貴協会及び御関係の皆様の一層の発展を祈念いたしまして、私の挨拶といたします。

実行委員長 櫻井 修

ソニーマーケティング(株)
グローバルCS 部門
カスタマーソリューション部

年々製品とインターネットとの親和性が高まる中、製品自体の設計・製造プロセスも大きな変化を迎えつつあります。それに伴い、マニュアルの電子化・Web 化も加速しています。 たとえば、製品がアプリケーションを通じて機能アップデートされることで、出荷時のマニュアル提供だけでは事足りなかったり、マニュアルが製品購入の意思決定のための情報として参照されたりするケースを見ると、マニュアルに対して従来の「使用説明」だけではカバーできない役割が求められているように思えます。
このような状況の中、マニュアル提供手段としてのインフラ・媒体の進化をこれまでの5年とした場合、これから先5年はマニュアルコンテンツ自体のパラダイムシフトが不可欠であると言えます。 そのためには、インターネットの利便性を最大限に活用し、TC のスキルを持つ私たち自らがマニュアル制作の枠を超えて「役割を拡げ、関係する情報をつなげて共鳴させ、お客様ともっと心地よい相互コミュニケーションを奏でる必要性があるのではないか?」と思い至りました。
その思いを今年のシンポジウムのテーマに込め、それを実現するためのノウハウや技術、課題などについて各セッションやディスカッションの中で取り上げていきます。また、東京の基調講演では濱口秀司氏にご登壇いただき、従来のマニュアルの枠にとらわれない発想や進化の方向性を探るヒントを提供いただこうと考えています。
また、同時に開催される日本マニュアルコンテスト2016 は、東京開催で部門賞の発表、京都開催では日本マニュアルコンテスト2016 マニュアル オブザイヤー(MOY)の公開審査会を行い、2016 年度の最も優れているマニュアルを決定します。
関係者の皆さまのご参加を心からお待ちしております。

関西実行委員会代表 齊藤 健

ダイキン福祉サービス(株)
代表取締役社長

私たちテクニカルコミュニケーターは、情報伝達を「見やすく・わかりやすく・正確に」する役割を担っています。また昨今、お客様への情報提供のしかたも紙だけでなくWeb やスマホまで展開され、そして、情報収集の範囲もSNS やビックデータ分析などへ拡大されてきました。
本年のテーマ「拡げる、つなげる、コミュニケーションの共奏」では、まさに企業内や部門内だけでなく、企業間やお客様間とのつながりを拡げてコミュニケーションすることで、まるでオーケストラが素晴らしい演奏をするように一体となり響きあうことにあると思います。
このテーマの背景には、ドイツの戦略的国策の「インダストリー4.0(第4 次産業革命)」に相乗りする形で日独共同声明(2016 年4 月)が発表された事でもわかりますように、我々先進国では、高齢化・少子化問題や製造業における開発スピード・コスト問題が非常に深刻化していることは明らかです。
この状況は、日本だけ、一企業だけでは解決できないものと言えるでしょう。従来、日本のロボット産業を軸に据えた「ロボット新戦略」が中心でしたが、現実にはロボット産業以外においても「つながる工場」「考える工場」など、IoT を活用した製造ビジネススタイルの変革が活発に実施されています。
経済の活性化を推進し「先進的企業の地位」を確保するためにも、産官学、経営者・労働者も一丸となった「イノベーションへの挑戦」に取り組む時期であると言えます。
サブテーマ「One-on-one communication」では、コミュニケーションは双方向で対等にすべきであり、様々な立場の人が同じテーブルについてかんかんがくがくと議論することが表現されています。
もちろん、議論自体もオープンな仕組みにして、先端の標準化推進も必要になってきます。最後に、本年は、従来と一味違う多数のプログラムを準備しております。皆様の意識改革の一助になればと願っております。

【東京開催】プログラム詳細

本プログラムでは、次のような企画について、それぞれの内容をご紹介しています。。
時間割

基調講演今年の基調講演者は、monogoto CEOの濱口 秀司氏です。

パネルディスカッション8 セッション(1 セッション150 分)

テクニカルコミュニケーションの基本から旬な話題までを幅広く取り上げ、制作プロセスやツールなどに関する技術動向、業界動向などについて討論する セッションです。3 名ほどのパネリストが一緒に登壇し、各セッションのテーマに関して、最新の取り組み事例や動向を紹介し、今後の動きや留意点などをディスカッションを通じて浮き彫りにします。コーディネーターは、ディスカッションの進行をコントロールする役割を担います。

ミニセッション7 セッション(1 セッション60 分)

TC の基本から旬な話題までを幅広く取り上げ、制作プロセスやツールなどに関する技術動向、翻訳関連情報などについて講義や討論する1 時間枠のセッションです。

特別セッション9 セッション(1 セッション150 分)

デザイン・レイアウト、プレゼンテーション、トピック指向ライティング、校正・校閲など、実務経験豊富な講師による実戦的なセッションです。講師が、テーマ別にスキルや知識を解説し、学習と自己啓発の機会を提供します。
参加するためには、ご希望の特別セッションごとに事前のお申し込みが必要です。

協会発表6 セッション(1 セッション60 分または150 分)

TC 協会が実施している各ワーキンググループの成果の発表、海外TC 団体の協力による専門家から最新状況の紹介などを行う企画です。

事例・研究発表7 セッション(1 セッション60 分)

TC 分野または関連分野の業務に携わる方々や、研究をされている方々による、事例・研究発表です。

TC関連商品紹介16 セッション(1 セッション60 分)

商品展示&プレゼンテーションに参加を申し込んだ企業により、使用説明の制作に役立つソリューションやツールを紹介します。紹介されるソリューションやツールは、展示会場において触れてみることもできます。

日本マニュアルコンテスト2016表彰式

日時: 8月24日(水) 12時30分~13時10分 (40分)
場所: 工学院大学一階アトリウム
日本マニュアルコンテスト2016の部門賞の発表と表彰式を2016年8月24日(水)12時30分頃から、工学院大学一階のアトリウムで行ないます。また、アトリウムにて入賞された作品を2日間展示します。
展示会ツアー

受賞マニュアルのポイントを解説する「展示会ツアー」を実施します。
1回目は8月24日:15時30分から実施
2回目は8月25日:12時30分から実施
3回目は8月25日:15時30分から実施

【京都開催】プログラム詳細

本プログラムでは、次のような企画について、それぞれの内容をご紹介しています。
時間割

基調講演今年の基調講演者は、大阪工業大学教授の本田 幸夫氏です。

パネルディスカッション12 セッション(1 セッション150 分)

テクニカルコミュニケーションの基本から旬な話題までを幅広く取り上げ、制作プロセスやツールなどに関する技術動向、業界動向などについて討論するセッションです。3 名ほどのパネリストが一緒に登壇し、各セッションのテーマに関して、最新の取り組み事例や動向を紹介し、今後の動きや留意点などをディスカッションを通じて浮き彫りにします。コーディネーターは、ディスカッションの進行をコントロールする役割を担います。

ミニセッション6 セッション(1 セッション60 分)

TC の基本から旬な話題までを幅広く取り上げ、制作プロセスやツールなどに関する技術動向、翻訳関連情報などについて講義や討論する1 時間枠のセッションです。

特別セッション6 セッション(1 セッション150 分)

デザイン・レイアウト、動画マニュアル、プレゼンテーション、トピック指向ライティングなど、実務経験豊富な講師による実戦的なセッションです。講師が、テーマ別にスキルや知識を解説し、学習と自己啓発の機会を提供します。
参加するためには、ご希望の特別セッションごとに事前のお申し込みが必要です。

協会発表2 セッション(1 セッション60 分)

TC 協会が実施している各ワーキンググループの成果の発表、専門家から最新状況の紹介を行う企画です

事例・研究発表10 セッション(1 セッション60 分)

TC 分野または関連分野の業務に携わる方々や、研究をされている方々による、事例・研究発表です。

TC関連商品紹介12 セッション(1 セッション60 分)

商品展示&プレゼンテーションに参加を申し込んだ企業により、使用説明の制作に役立つソリューションやツールを紹介します。紹介されるソリューションやツールは、展示会場において触れてみることもできます。

日本マニュアルコンテスト20163 セッション(MOY 公開審査30分、応募作品の紹介30分、表彰式10分)
場所:サイエンスホール
実施日:2016年10月5日(水)  12時15分〜13時15分(予定)

「日本マニュアルコンテスト2016」で、入賞された作品の中から最も優れている作品" マニュアル オブ ザイヤー(MOY)" を選定する公開審査会を行います。その後、本年度応募のあった作品の傾向と課題などの報告を行います。また、MOY の審査結果発表後、受賞された作品の表彰式を行います。