TCシンポジウム2008 プログラム詳細
ご挨拶
岸 学 (テクニカルコミュニケーター協会 会長)
先日、都道府県がどこにあるかを知っているかの調査で宮崎県が下位の方だったことが話題になりました。考えてみますと、宮崎県がどこにあるか知らなくても行くことはできます。東京なら羽田に行って空港カウンターで「宮崎まで」と言えば「○○でチケットを買って○番搭乗口へ」と教えてくれます。我々が蓄えている知識は、手続き的知識と宣言的知識とに大別できます。手続き的知識とは操作や手順についての知識で、「空港に行って、チケットを買って、搭乗口に行って」などです。取扱情報はこのタイプの知識がほとんどです。一方、宣言的知識とは概念や定義についての知識で、「宮崎県は九州の東側にある」「地鶏と焼酎が美味しい」などです。両者は、覚え方・記憶の定着度・使用のしかたなどに大きな違いがあります(詳しくは TC協会監修「文書表現技術ガイドブック:共立出版」を参照)。宮崎に行くには手続き的知識があれば十分です。しかし、「宮崎を知っていますか」への回答には宣言的知識が必要になります。
今回のシンポジウムは、手順説明が製品自体に組み込まれ、アフォーダンス論が隆盛する中でデザインと操作の融合がますます加速していく、という流れの時期に開催することになります。この流れは、「手続き的知識を有効かつ効率的に伝えるにはどのようにすればよいか」とも言い換えることができましょう。「無駄な知識をどのように排除するか」という匂いを感じる流れでもあります。では、我々の知は、洗練された手続き的知識のみがあれば満足するのでしょうか? 違うはずです。手続き的と宣言的の双方の知識をバランスよく保持して初めて「わかった!」と感じるのであり、「もっと知りたい」興味が湧いてくるのです。皆さんは一度は「エクスプローラ」や「ブラウザ」の意味を辞書で調べているはずです。まさに、知識のバランスをとろうとしたのでしょう。手続き的知識を獲得すると「できた !」ですが、それに宣言的知識が加わると「わかった ! or面白い !」に格上げされるのです。では、取扱情報にどんな宣言的知識をどのように加えていくのでしょうか? 難題です。今回のシンポジウムにヒントがあることを期待しています。多数の方々のご参加を願っております。
小島 文代 (TCシンポジウム2008実行委員会委員長)
株式会社リコー 総合経営企画室 総合デザインセンター所長
テクニカルコミュニケーションシンポジウムも回を重ねて記念すべき節目の20回目を迎えることができました。これも、ひとえに会員の皆様方のご尽力とご支援の賜物と存じます。今年度もテクニカルコミュニケーション関連に携わる方々にとって有意義で成長できる場となるよう趣向を凝らしたシンポジウム企画をご用意いたしますのでご期待ください。
さて、我々を取り巻く環境も大きく変化しています。地球環境への配慮、CSR対応、グローバル化、企業価値の増大、お客様の価値基準の変化などが挙げられます。特にお客様の価値基準の変化では、携帯電話や携帯デジタル音楽プレーヤーなどの急速な普及は、日常生活に多大な変化をもたらしました。IT技術の急速な発達により、商品、サービスの複雑化、多機能化、高機能化はますます加速され、逆に人とかかわるインタラクションデザインは簡単、明瞭化が要求されています。このような環境の中で、我々テクニカルコミュニケーターの役割は、ますます重要になってきています。その環境変化へ対応して我々が扱う取扱情報の訴求および提供する方向性はどうなるのか? テクニカルコミュニケーターも切磋琢磨して新しいステージへいく必要に迫られています。
そこで今年のシンポジウムは、『「意匠 ×情報」テクニカルコミュニケーターも新しいステージへ』をテーマに開催いたします。テーマに則した基調講演をはじめ、欧州TC関連団体とTC協会の特別パネルディスカッションや特別セッション、事例・研究発表、TC関連商品紹介、展示会など、多数のプログラムをご用意して皆様方のご参加を心よりお待ちしています。
斉田 輝彦 (TCシンポジウム2008京都開催代表)
株式会社島津製作所 CS統括部 部長
関西地区の会員を代表してご挨拶申し上げます。
TCシンポジウム大阪は、今年で 10年目を迎えることになりました。この節目のシンポジウムを初めて京都で開催できることになり、地元の企業として、大変喜ばしく思っております。
マニュアル(紙および Web)には、ユーザーと商品のスムーズな係わり合いを有効にし、さらに商品をアピールし、信頼度を高める役割があります。商品のスペックが横並びになりつつあり、スペックだけで差別化を図ることが難しくなった現在、マニュアルも商品価値・ブランドクオリティを左右する重要な要素になっています。また、グローバル化、ユニバーサルデザインの考えが定着する中、だれにでもわかる、思いやりのあるマニュアルが求められています。
このような背景の中、TCシンポジウム京都のプログラムは、東京開催プログラムを関西向けに凝縮・選択し、パネルディスカッション、事例・研究発表、特別セッション、TC関連商品紹介および日本マニュアルコンテストの入賞事例展示などを取り揃えています。また、京都独自の企画も予定していますので、ご多忙とは存じますが、ぜひ、ご参加ください。そして、新しい知識を収集し、同業種の方々と交流を深めてくださることを願っております。
みなさまのご参加を心よりお待ちしています。
TCシンポジウム2008 in Tokyo【東京開催】
全体プログラムプログラムはPDFファイルでご覧いただけます
基調講演今年の基調講演者は、三井 英樹(みつい ひでき)氏です
パネルディスカッション (1セッション150分×9)テクニカルコミュニケーションを広く捉え、旬な話題、制作などに関する技術動向、業界動向について討論するセッションです。
特別セッション (1セッション150分×8)ライティング、編集デザイン、UI関連、制作ツール・管理など、実務経験者講師による実践的なセッションです。
事例・研究発表 (1セッション60分×19)TC分野または関連分野の業務に携わる方々やその研究をされている方々多数の発表応募をお待ちいたします。 商品やソリューションの紹介を中心とした発表につきましては「TC関連商品紹介」の発表応募でお願いいたします。 (発07は、発表者の都合で中止となりました。2008.7.10)
商品紹介 (1セッション60分×11)TC分野または関連分野のアプリケーションソフト、ソリューション、ツール、システムを販売されているベンダーの方から、利用事例や商品の紹介をしていただきます。
TCシンポジウム2008 in Kyoto【京都開催】
全体プログラムプログラムはPDFファイルでご覧いただけます
パネルディスカッション (1セッション150分×9)テクニカルコミュニケーションを広く捉え、旬な話題、制作などに関する技術動向、業界動向について討論するセッションです。
特別セッション (1セッション150分×8)ライティング、編集デザイン、UI関連、制作ツール・管理など、実務経験者講師による実践的なセッションです。
事例・研究発表 (1セッション60分×19)TC分野または関連分野の業務に携わる方々やその研究をされている方々多数の発表応募をお待ちいたします。 商品やソリューションの紹介を中心とした発表につきましては「TC関連商品紹介」の発表応募でお願いいたします。 (発07は、発表者の都合で中止となりました。2008.7.10)
商品紹介 (1セッション60分×11)TC分野または関連分野のアプリケーションソフト、ソリューション、ツール、システムを販売されているベンダーの方から、利用事例や商品の紹介をしていただきます。