【記事】テクニカルコミュニケーション技法の棚卸しに役立てよう

 1989年から毎年欠かさず開催されてきたテクニカルコミュニケーションシンポジウムは、産業界主催のシンポジウムとしては日本屈指の歴史を持つに至っています。JTCAは、パネルディスカッションの聴講者が綴った記録を編纂した記録集を毎年発行して、参加者全員に提供してきました。聴講できなかったセッションの要旨を確認頂くためです。また、記録集の巻末には歴年のシンポジウム短報をヒストリーとして掲載しており、テクニカルコミュニケーションおよび業界の変遷を追跡できる産業史としての役目も担い続けています。
 地域有志が全国各地に設立していた団体を統合して日本統一組織を結成することを目指した1990年前後の黎明期(任意団体テクニカルコミュニケーター協会JTCAは1992年に創設)、PL法施行を契機にトリセツのプロとしての存在感を高めた1995年前後の発展期、インターネットとデジタル家電に取り組んだ2000年前後の飛躍期、組込み型など非文書形式のトリセツが世界に先駆けて日本で花開いた2005年前後の変革期、世界各国のテクニカルコミュニケーション団体同士の交流を主導した2010年前後のグローバル展開期(JTCAは2009年に一般財団法人化)、参加者数が急増する一方で誰のための何のためのコミュニケーションなのか自問自答を繰り返した2015年前後の転換期、新常態で急変したコミュニケーションのあり方に挑む変容期としての現在。記録集巻末のヒストリーは、今、何を残し、何を変えるべきなのかを示唆します。新しいコミュニケーションスタイルに即したリデザインに挑む今だからこそ、皆様ご自身の技法の棚卸しに役立てて頂きたいとJTCAは考えます。
 2022年は創設30周年です。記念事業として2021年版記録集を希望者全員に無料で提供しています。2021年版記録集は冊子版限定の本紙と、PDF版限定の別冊の2部構成です。別冊にはシンポジウム2021の夏季開催基調パネルディスカッションの記録、および秋期開催基調講演の記録を掲載しています。本誌にはそれ以外のパネルディスカッションの記録と巻末ヒストリーを掲載しています。
 PDF版限定の別冊はJTCAホームページからダウンロードできます。お試し版としてもご活用ください。冊子版本誌をご希望の方はJTCA事務局にお申し込みください。