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PIAACについて ~ 岸会長からの特別寄稿 ~

岸 学(きし まなぶ)

一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会 会長
東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科長
東京学芸大学教育学部教育心理学講座

国際成人力調査(Programme for the International Assessment of Adult Competencies:PIAAC ピアック)というものが本年度実施されます。ご存じない 方が大半だと思います。これは、OECD(経済協力開発機構)が進める国際比較調査で、2000年より始まったPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の成人版なのです。

PISAにもなじみが薄い方、PISAとは、日本の学校教育界に衝撃を与え続けている学力の国際比較調査です。この影響で、あっという間に全国規模の学力調査が実施され、小学校のカリキュラムが変わり、授業内容や方法が大幅に変わってし まったのです(PISAショック)。特に大きな衝撃は、「読解力」の枠組みの中 に、人にわかりやすく説明する、操作や手順の説明を理解する、などの能力・技 能が含まれていたことです。そう、 PISAでは、テクニカルコミュニケーション の基礎技能が読解力として位置づけられていたのです。

PISAの調査範囲は、あくまでも小中学校の授業内容の話でした。ところが、今回のPIAACは成人が対象で、各国の成人が、日常生活や職場で必要とされる技能 (「成人力」)をどの程度持っているかを調べるのがねらいなのです。

技能は、「読解力」、「数的思考力」、「ITを活用した問題解決能力」の3つの分野から構成されています。その中で、「読解力」とは、「文章や図表を理解 し、評価し、活用する力」とし、例として、「ホテルなどにある電話のかけ方の 説明を読んで、指定された相手に電話をかけるにはどのように 操作したらよい かを答える」、「図書館の蔵書検索システムを使って、指定された条件に合う本 を選ぶ」、「商品の取扱説明書を読み、問題が起きた時の解決方法を答える」 となっています。驚きましたでしょうか。取扱説明書の読み取り能力を国際比較 しようというのです。出題される問題は、TC技 術検定の出題内容ときわめて近 いと思われます。そして、一連の動きは、テクニカルコミュニケーションの基礎 技能が、成人にとって職場で必要不可欠なものであると認知されていくことに 繋がると思います。

TC協会の活動内容が、これまでとは違った側面から社会的影響を発揮できると思 います。ぜひPIAACの動向に注目してください。詳細は、国立教育政策研究所のHPをご覧ください。

詳しくはこちらから