テクニカルコミュニケーターは、さまざまな職域で多様な業務に従事しています。TC協会では、使用説明の多様化に応じて、新たなTC技術の体系化を目指しています。
テクニカルコミュニケーターの職域
テクニカルコミュニケーターは、上に述べたように多彩な使用説明の発信に携わる専門家です。現在までに、JTCAの活動には、次に掲げるような多様な職種の個人および法人が参画しています。
- 取扱情報を企画し、制作を統括するディレクター
- わかりやすい説明文を書き起こすテクニカルライター
- イラストや概念図などを作成するテクニカルイラストレーター
- 海外向けの使用説明に携わる翻訳者およびローカライゼーション担当者
- 情報の適切な配置を決め、使いやすさを向上するデザイナー
- ユーザビリティ設計および開発の担当者
- 認知科学、心理学、デザインなどの研究者、教育者
新たなTC技術の体系化を目指して
製品やサービスのユーザーが求める情報を的確に提供するために、テクニカルコミュニケーターは多面的な技術を身に付ける必要があります。それらの技術の全体を「テクニカルコミュニケーション技術(TC技術)」と呼んでいます。取扱説明書(マニュアル)を例にとれば、次のようなものが挙げられます。
- 製品やユーザーに関する多様な情報を集め、分析する
- 伝達媒体の特性に応じて、最も効果的な冊子を企画する
- どのような順序で情報を伝えればよいか、最適な構成を決める
- ユーザーの視点から見て、読みやすくわかりやすい説明文を書く
- 理解を促進するための図や画像を作成する
- 誌面や画面に表示する情報の配置をデザインする
- 完成した取扱説明書が、ユーザーに役立つものになっているか、改善すべき点がないか、適正に評価する
使用説明の多様化が進んだことで、TC技術の適用分野が広がり、必要な技術的知識やスキルも大きく変わりつつあります。とくに、Webをはじめとする電子的な伝達媒体を効果的に取り入れた情報提供においては、最新のITツールやネットワーク技術の活用が不可欠なものになります。JTCAでは、使用説明の発信に携わる関係者の経験と知恵を集め、新たなTC技術の体系化を進めています。